2015年1月4日 PM8:00・・・
「――じゃあ、鴨川に水切りしに行かん?」
自分でも何を言っているのかわからなかったが、きゃなは私の誘いに乗ってくれた。
・・・・・・
きゃなとは、同じボランティアサークルの先輩後輩の仲だったが、昨年の秋から仲が急接近していた。
二人で食事をしたし、夜に1時間くらい電話もした。
そして、12月25日には、二人でユニバーサルデートも行ったのだ!

ウソみたいだろ。付き合ってないんだぜ。これで・・・
私としては、告白するためのステップを着実にクリアしていっていると思っていた。
※当初は、この時に告白する予定だったのだが、アメイジングスパイダーマンに酔ってしまい、それどころではなかった・・・
そして、今日。
京都河原町に初詣と称して、デートに誘いだし、一日ぶらぶらして、ディナーにイタリアンを食べた。
あとは、いい雰囲気の場所に誘って、告白するだけ。それに尽きる…!
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1月の鴨川は寒い。
夏であれば、等間隔に座るカップルがこの時間にも多くいるが、今日はほとんどいなかった。
適当にひとけの少ないところで立ち止まり、適当に石を探す。
「じゃあ、水切りしてみるわ!」
暗い鴨川の水面に、石を投げると、鈍いぼちゃんとした音がした。
「やっぱ、無理やな~・・・」
適当に言ってその場に座り、きゃなにも隣に座るように促した。
もはや、水切りなどどうでもいい。
投げた石が水面を何度跳ねようと、私にとっては問題外だ。
適当に「今日は寒い」だの「今日は楽しかった」など、きゃなに告白するための話をする。
すでに丸一日一緒に過ごしたのだから、すでに場は温まっているはずなのだが、
いざ告白となると再度温めなおす必要がある。
10分ほど話してから、私は勝負に出た。
「きゃな・・・、俺、きゃなことが好きやわ。付き合おう!」
大丈夫だ、俺・・・、
きゃなとは、クリスマスにも一緒にデートをしているんだ。
頻繁に電話もしている。
きっと・・・
“え・・・?くんさんのこと、そんな風に思ってないんやけど・・・?”
ん?
ちょっと待ってくれ。今フラれたのか・・・?
「え・・・いったん、付き合おうや・・・!」
HPの高いボスキャラと告白はゴリ押しに限ると信じていた私は、
とりあえず付き合うことで御社にメリットがあることを伝える。
“え~、でもくんさん、きゃなのどこが好きなんですか・・・?”
くそっ・・・!なんて、いたずらな性格なんだ・・・
笑いのツボが似ている、食の好みも似ているなど、あれやこれやと思いを伝える。
(今思えば、すでにこの時に人生のマウントを取られていたのだ)
“う~ん・・・じゃあ付き合います・・・?”
はぁ・・・。
やった。
たった今、きゃなのカレシになれたのだ。
予定では、告白→「私も好きでした」→「二人で抱き合う」
みたいなものを想像していたのだが、まったく異なるものだった。
※社会人6年目の今、当時を思い返すと、
「お客様に提案内容が採用されるかされないか微妙なラインの中、営業マンの思いをごり押しして採用頂いた商談」のような感覚に近い。
否、大事なのはプロセスではなく結果なのだ。
今日から私は、きゃなのカレシになったのだ。
カレシとして、楽しい毎日を提供する義務がある。
そう・・・
すべてはこの「鴨川水切り事件」から始まったのだ。